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「「カルシウム摂ってる?」」
シリアスな一角獣とギャップはかなりあったけれど、前を固めるスケルトンはからからと明るく近寄ってくるんだな。
それを見たウズマサが、8号に作ってもらったばかりの手甲をがつがつと打ち鳴らしたんだな。
「試シ斬リ…モトイ、試シ殴リデース!」
ウズマサは拳を振り上げてスケルトンに殴りかかっていったんだな。
ボクも形振りは構っていられないので、中華鍋をぶんぶんと文字通り振り回して、攻撃したんだな。
ボクとウズマサの攻撃が利いたのか、スケルトンは進んでは来なくなったけれど、彼らも持っていたぼろぼろの武器で攻撃してきたんだな。
ルシアと一角獣は魔法合戦をしているようで…
戦況が傾いたのは、ウズマサの一撃だったんだな。
「マタ、ツマラヌ物ヲ押シテシマッタ…」
コン…ドンッ!
ボクには普通のパンチに見えたんだけれども、ウズマサ曰く急所を突いた…ということらしいんだな。
「やぁん、折れちゃったわぁん。」
そんなウズマサの攻撃で、まずスケルトンが一体崩れたんだな。
そして、一角獣が地味に回復させるおかげで戦闘はずいぶんと長引いたんだけれども、なんとかもう一体のスケルトンも倒すことが出来たんだな。
ただ、同時にウズマサも力尽きてしまったんだな。
「き、傷は浅いぞー!」
気を失ったウズマサに声をかけるルシア。
残されたのは一角獣とすっかりぼろぼろのボク達だったんだな。
「朽ちはしません。」
一角獣は得意技のボロウライフを連発してくるんだな。
それに対抗してボクはブロウを、ルシアはマジックミサイルを必死で連発したんだな。
そして。
「なんという…」
二人がかりで攻撃できた事と、ウズマサが大分ダメージを出してくれていた事もあって、ボクもルシアも倒れることなく、一角獣をやっつける事ができたんだな。
ボク達はウズマサの手当てをしてから、脚組(と呼ぶ事にしてあるんだな)との合流地点に向かったんだな。
ところが…
「おいーー…っす?」
ルシアの元気な挨拶が空しく響いたんだな。
「みんな来てないんだな。」
ボク達はしばらく待ってみたけれど脚組のみんなは結局こなかったんだな。
それは戦闘で負けてしまったことを表しているんだな。
「おぅ、無念デス…。」
ウズマサが悔しそうに呟いていたんだな。
ボクもルシアもそう思っていたんだな。
三人で食事の準備をしている最中、何か考えていたウズマサがこう言ったんだな。
「戦闘ニ敗北スルト、ドウナルノデスカ?」
その問いにルシアはこう答えていたんだな。
「気力的なものががくんと落ちる…。冒険者用語でいうと、『持久』っていう物なんだけどね。」
「ホウ。」
「ほら、今ここにいる冒険者ってさ、この遺跡の中でしか使えない『技』が使えるっしょ?」
「はぁい。拙者ノ必殺壷押シ等ガソウデスネ?」
「そそそ。技が使えるのも、持久のおかげ。遺跡を長い事探索できるのも持久のおかげ。でも、持久が切れちゃうと、遺跡は冒険者を本人も気づかないうちに、外にぽいっと出しちゃうの。」
ボクはフレンチトーストが入った中華鍋を置きながら言ったんだな。
「つまり、テン達は戦闘で負けて、その持久が切れてしまったんだな。」
「おぉう…。」
「まあ、脚組の事だからきっとすぐに復活して遺跡にやってくるんだな。ボク達にはまだ先があるんだな、持久維持のためにも大切なご飯にするんだな。」
「待ってましたー!あっまそー!!」
「イタダキマース。」
その夜。
ボク達はいつもより静かなテントで、いつもより静かに明日の進路を決定したんだな。
壁の中に進む。
ウズマサはとても驚いていたけれども、この遺跡には沢山の隠し通路があるんだな。
ボクがそのことをウズマサに言うと、なるほどと納得していたようなんだな。
ルシアはドンドンガンガンいくぞと息巻いていたけれども、あれはボク達を元気付けようとしてくれていたんだな。
ボクにはわかるんだな。
ボク達はみんな仲間なんだな。
この不思議な不思議な遺跡に挑む大きな大きなパーティーなんだな。
今すぐ隣にいる仲間も、今遠くにいる仲間も、今島を離れている仲間も…
ボクは寝袋の中でそんなことを考えていたんだな。