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ルシアのキャラをざっくり変更したので、
前とつながらない!と思ったお友達は見直しだ!ちぇけら。
そのころ。
遺跡の中の魔法陣近くで、金髪を長く伸ばした男が煙草をくゆらせていた。
男の名は柴田・スティーブ・四太。
見た目はどう見ても三十代なのだが、実年齢はまだ十代の青年である。
「どした、アレ。落ち着きないな。」
「えー、だって、四太にーちゃんがつれてくる人って気になる!」
「安心しろ、植物じゃあない。…ヒトかどうかは自信ないがな。」
四太に話し掛けられたのは、アレックス。
赤いヘッドギアに軽戦士のいでたちで、好奇心旺盛そうな瞳は魔法陣の方に向けられていた。
「しっかし…もうタイムアウトだな。アレ!」
「はーい!」
四太の目の前でアレックスは敬礼する。
「今後の移動行程に支障が出たらいかん、ちょっと余裕見てそろそろ動くぞ。」
「了解*…わたしは一人であの山をこえればいいんだよね?」
「そうだ。やばけりゃ誰かと共闘すりゃいい。」
「はーい*そんじゃ、あしたのあしたに山の向こうで。いってきまーす!」
アレックスは再度敬礼すると、だだだと土煙をあげながら先に指差した山のある方角へと走っていった。
「若い子は活きがいいねえ…。」
「おいらもピッチピチよ♪」
四太の呟きに答えるように話し掛けたのはルシアだった。
「お。遅いぞぴちぴちエルフ。」
「…ひらがなで書かないで欲しい。」
四太は寄りかかっていた壁から背を離すと、足元の斧を担ぎ上げた。
「で、仲間ゲット大作戦ってのはどうなったんだ?」
「それなら大丈夫。心強い仲間を二人も連れて来たっす。ほら…」
ルシアは誇らしげに振り返ったが、その先には誰もいなかった。
「…あら?」
「おいおい。」
時は少し経ち、山中。
まばらに生えた木々を縫いつつ、アレックスは山頂を目指し進んでいた。
「どうせならいっちばん上がいいよね*」
疲れていた自分を鼓舞するように呟くと、次の一歩に力を込める。
その時だった。
ブーンという風を切る音と一緒に妙な声が聞こえてきた。
「うわーいいにおいー」
「えっ?」
ビタン!
「えっ??!!」
アレックスは事態がよくわからなかった。
何かが飛んできて自分の頭部にぶつかったのだ。
(ぶつかったわりには頭…痛くないなあ…)
そんな事を考えていると、頭頂部から声が聞こえてきた。
「あー、ごめんよー。あまりいい匂いだったから思わずとまっちゃった。」
ごそごそ…ブーン。
アレックスの頭から声が一旦遠ざかり、目の前の地面に着地した。
「わあ、大きなてんとう虫さん*」
アレックスは初めて見るこの虫のサイズに驚いていた。
それはそうだろう、アレックスのヘルメットと同じ位の大きさだったのだから。
「わたしはAlex-tangerine_07。いい匂いだった?うれしい*」
「すごくいい香りだよー。ぼくはテンだよ。」
「ten?」
アレックスは両手を広げてみせる。
「テン。」
巨大てんとう虫のテンは頷いた。
「あはは、わたしは7だから数字つながりだね。」
「ぼくの星はななつだよー。」
なんだか気があった二人(?)は遺跡の探索仲間としてしばらく一緒に進むことになった。
「アレックスは何でそんなにいい香りがするのー?」
テンがアレックスの頭の上から尋ねる。
くつろぎのスペースは決定済みのようだった。
「ああ、わたしはミカンだから。」
「未完?」
「ほこうみかん…だったはず。でもね、糖度がひくいって言われてるんだ。甘いものいっぱい食べたら糖度あがるかなあ。」
「それならぼくが甘いもの沢山見つけてあげるよー。」
「ありがとう*」
「あ…でも、とりあえず甘くないものにであっちゃったみたいー。」
テンの声にアレックスが改めて前を向くと、山頂近くの木の切り株に、テンを軽く上回る大きさのコオロギがいた。
いただけならいいのだが、それは明らかに敵対的なオーラを放っていたのだ。
アレックスは腰に下げていた武器に手を伸ばした。
「とーちゃん、お仲間っぽいけどいいの?」
「んー、倒さないと通してくれそうにないからー、がんばろうー。」
「了解!」