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気がつくと、ボクは、遺跡の外にある見慣れたコテージで昼寝をしていたんだな。
「???」
目を覚ましてすぐに、ボクはその『何とも不思議な気分』に気がついたんだな。
例えるなら、悩みに悩んで試行錯誤して完成目前だった特製スープのレシピをすっぱりと忘れてしまったような。
すごく美味しいスープの香りだけが鼻先に残っているけれど、材料や作り方はまったくわからない。
そんな不思議な気分なんだな。
でもそんな不思議な気分はすぐに吹き飛んでしまうんだ。
「おいーっす!」
「…おいーす」
「声がちいさーい!おいいいーーーっす!!」
「おいいーっす!」
「金さん起きた?みんなご飯待ってるよ。主においらが!」
「了解なんだな。すぐに作るんだな。」
元気よくボクを起こしに来てくれたのはルシア。
エルフの女の子で、パーティーのムードメーカーなんだな。
そう、数日前にこの島に来たボクは、このルシアに声をかけられて同じパーティーとして遺跡を探検することになったんだな。
…?数日前?
なんだか違和感なんだな。
…まあ、気にしないんだな。
ドアを開けて外に出ると、パーティーのみんなが色々と作業をしているんだな。
「お、金がきた。後で鞄の中見せて。合成の計画とか立てるから。」
早速ボクの方を向いてそう言った大きなテントウムシは、パーティーの頭脳労働担当、テン。
いつも忙しそうに(本当に)飛び回っているんだな。
今日は普通の羽の色なので、お出かけはしなかったようなんだな。
テンは付け羽でいつもおしゃれにしているんだな。
「自分にも見せていただきたいレター。効率のよい郵便物配達のための参考資料にするであります。」
テンの隣にいる、大きな郵便ポストに手足が生えたようなロボは、8号。
正式名称は強化型試作郵便配達伝人8号機というらしいんだな。
ボクの実家では郵便ポストは、ちょうど今ボクが着ている服のような、緑色に青色を少し混ぜたような色をしていたので、真っ赤なポストはどうにも派手に見えるんだな。
「ところで郵便はありませんか?レター。」
「ああ、そうなんだな。住所がわからなくても大丈夫だったのかな?」
「イエス。レター。海の底までも配達するであります。」
「…たぶん海の底にはいないんだな…。」
ボクは自分の鞄から2通の手紙を出して8号に渡したんだな。
一つはアレックスへ、一つは四太へのものなんだな。
アレックスは礼儀正しい歩行蜜柑でとってもよい子だったんだな。
四太は礼儀正しくない不良の少年でとってもよい子だったんだな。
ボクはこの二人のコトを沢山覚えていて沢山大好きなんだけれども、二人はなぜか今ここにいないんだな。
それがどうしてなのかも、ボクにはわからないけれども、きっと二人とも元気にしているはずなんだな。
だからボクはこっちのみんなが元気だということを手紙に書いたんだな。
いつか二人がそれを読んでくれますように…
「金さーん!おいしい草買ってきたよ~」
「え、何?何で?わからニャい。いまだにわからニャい。」
かまどの近くで手を振っているのは、蓮。
初めて会った時は犬か兎だと思っていたのに、何日か前から普通のニンゲンになっているんだな。
ニンゲンは面白い成長の仕方をするものなのだな。
隣でなんだかぶつぶつ言っているのが双子の弟の源。
こちらは初めて会った時は普通のニンゲンだと思っていたのに、何日か前から大きな猫になっているんだな。
次は何になるのか楽しみなんだな。
ボクは頼んでいたおいしい草が、思っていたよりも沢山手に入ったようなのを見て、とても喜んだんだな。
「ありがたいんだな。今日は腕によりをかけたおいしい草フルコースなんだな。」
「オー、拙者存ジテオリマース。青菜ニ塩ネ。旨イ調理ヲスレバ、ナッパモ美味シクナルコトデゴザ候。」
蓮の後ろで籠に入った美味しい草を抱えているのはウズマサ。
日本が大好きなアメリカ人のおじさんなんだな。
いくつも着物を持っていて、コスプレ会場でもないのに着て歩けるこの島はグレイトだと言っていたんだな。
ちなみに今日の茶色い着物はは柳生じゅうべえという人の服装らしいんだな。
ボクにはよくわからないけれど、料理の腕を褒めてくれたことはわかったんだな。
「嬉しいんだな。ではさっそく料理するんだな。」
こうして今日も僕は鍋を振るうんだな。
なんてったって明日からはいよいよあの遺跡に突入するんだな!
みんなの食事はボクにお任せ!なんだな!