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四太とルシアがアレックスと落ち合う予定にしていた地点についた時、偶然にもその場にいたのは金と蓮だった。
「あー、るしあーん!」
元気良く手を振る蓮のほうに、ルシアは同じく手を振って応えた。
「急にいなくなるから心配したよ。」
「蓮、急に居なくなったのはボク達のほうなんだな…。」
「こっちはおかげでmission failedになるところだったっす。」
「キャベツ。」
豚と犬と親しそうに話しているルシアに、四太が声をかけた。
「あ、この二人が言ってた心強い仲間。こっちが金ちゃん。こっちが蓮ちゃん。んで、こっちが四太くん。」
「金華猪なんだな。よろしくなんだな。」
「上四万十川蓮です。四太さん、背が高いですね、いいなあ。」
「二人ともよろしく。そして出来たら俺のことはスティーブと…」
「あああっ!美味しそうな食材なんだな!」
四太の挨拶を上書きする勢いで、金が足元のずた袋から小鷹を取り出した。
「あ、るしあん達も小鷹とバトルになったんだね、うちもつつかれかけたんだけど、金さんが見るも無残に潰しちゃって…」
結局手に入れたのはこれだけだったよと、蓮はルシアに綺麗に伸びた尾羽を見せた。
「腿と手羽は揚げて…首周りがいい肉付きなんだな。茹でて味噌ダレなんていいんだな。」
「お、ぶーちゃんひょっとして料理できる?」
「当然なんだな。ボクは特級厨師なんだな。」
四太に胸を張って自慢する金の隣で、ルシアは蓮の肩を叩いた。
「食材にされないようにね。」
「大丈夫だよ、いくら金さんでも人間は食べないよ。」
「…。」
四人がそんな会話をしている所へ、遠くのほうから駆け寄る人影があった。
「四太にーちゃーん!」
勢い良くやって来たアレックスと頭の上にしがみついているテン。
「到着ー!」
四太はその姿を見るなり呟いた。
「でかっ。」
「あー、てんとう虫のテンですー。よろしくー。」
「とーちゃんがいなかったら多分わたしはここまでこられなかったよ。」
テンを頭に乗せたまましょげるアレックスに、ルシアが話し掛ける。
「キミがアレックス君?おいらルシア。よろしくー。」
「あっ、四太にーちゃんが言ってたルシアさん。よろしく*…寒くない?」
アレックスはルシアの腹部を見ていた。
「おしゃれは、我慢することと見つけたり!ところで、こられなかったって?」
「そうだ。アレは俺様ほどじゃないにしろ強いだろう。」
四太もルシアの横で頷いている。
「じつはー。これのせいなんだ。」
アレックスは腰に下げていたショートソードを鞘ごと外して見せた。
「あん?このショートソードが…こらまた随分軽いな。」
ショートソードを受け取った四太はその重量に驚いた。
「それ、抜いてみて。」
「ああ…なんだこりゃ?!」
アレックスに言われるまま四太は全員の視線を集めつつショートソードを鞘から抜いた。
そこにはこの軽さに納得できる理由があった。
いや、むしろ無かったというべきか。
「刀身がないんだな。」
「柄だけ、だね…刀身迷子?」
金と蓮の状況説明に頷きつつ、アレックスが説明した。
「わたし、でてくるときに、れんしゅうようをくださいって言ったんだ。こんなにれんしゅうようだとはおもってなくて。」
「まー、なんとか柄で殴って上手くいったしー、ぼくの魔法も思ったより上手に出来たから大丈夫ー。」
頭上のテンのフォローに肩を落とすアレックス。
「はやく剣をみつけないと、技もだせないよう。」
見かねた四太がアレックスにこう言った。
「んー。しぇーねーな。急ごしらえでよければ俺が作ってやる。」
「四太にーちゃん、ほんと?!」
「あんまり期待すんなよ。」
「わーい*」
「話もまとまったところで、おいら金ちゃんの料理が食べたい!」
「僕も僕もー。」
「ぼくなんでも食べられるよー」
「…一度に全員の口に合う料理はかなりレベルが高そうなんだな…」
こうしてこの日は暮れて行くのだった。
袖振り合うも他生の縁、
偶然出合った六人は、
さまざまなドラマを繰り広げていく。
…そんな偽島の片隅で。